この12カ月、マキロイの旅に大きな影響を及ぼしてきたのは、あのリブゴルフの出現だった。PGAツアーの選手会を率いるリーダーとしての重責を担い、周囲の選手たちの範となるべく踏ん張ってきた日々は、自分自身のためだけにゴルフをする日々より格段に重く、辛かったはずだ。

毎週毎週、メディアからも周囲からもリブゴルフに対する質問を浴びせられ、そのたびに強い気持ちと姿勢で対応し、その上で自身のゴルフに取り組んできた。それでも、マキロイは、こうして勝った。いや、「それだからこそ彼は勝った」のだろう。

名実ともに自分がPGAツアーの選手たちを引っ張っていく――そんな決意と気概がマキロイを勝者へ導き、生涯9度目の世界ランキング1位へ押し上げたのだ。

今大会開幕前は「再び世界1位になったとしても、初めて世界一になった2012年のときほど興奮することは、きっとないと思う。でも、やっぱりうれしいと感じるとは思う」と言っていた。いざ、再び王座に就き、マイクを向けられたマキロイは、一瞬、言葉を詰まらせ、感無量の様子だった。

「父親になった僕は、以前の僕とは違う。この世界一には特別な意味があるんだ」

たとえ何度目であっても常に新たな発見、新たな意味を見い出す。そんなマキロイのジャーニーは、まだまだ、これからも続いていく。エキサイティングな彼の旅を、一緒に眺め、ともに楽しみたい。