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「かみさんや子どもに申し訳ない」 なぜ山崎泰宏は『死を受け容れる』ことができたのか【心筋梗塞からのフルスイング】

「かみさんや子どもに申し訳ない」 なぜ山崎泰宏は『死を受け容れる』ことができたのか【心筋梗塞からのフルスイング】

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2022年3月22日 10時30分

――そのとき、どういう気持ちだったんですか。
「かみさんとか子供に伝えたいこととかあるじゃないですか。もし(手術後にも)生きていられるなら、銀行だったりお金だったり、死ぬ前にやらないといけない手続きを人に頼めるなと、そういうふうに思って、(手術を)『お願いします』と言いました。生きたいという命乞いではなかったですね」

――普通に考えると、死ぬと思うと、判断もできないくらいパニックに陥るのかなと思うのですが。
「そう思うじゃないですか。でも案外と僕、冷静で。あ、人間死ぬときって案外、こんなに簡単に逝っちゃうんだなって、なんか受け容れちゃったんですよ」

――死を意識して血の気が引いたりとかはなかったですか。
「なんかこう、諦めたというか、ああ、もっと早く来なきゃダメだったなと。脳と心臓は早く処置をしないと助からないということをスキー指導員の救命の知識で知っていたので。我慢したのがいけなかった、我慢していたことへの後悔の方が大きかった。まあ、ちょっと切なかったですね。かみさんや子供に申し訳ないという気持ちです。子供まだ中学生なので。かみさんは女手で一人で育てていかないといけないから、大変だろうな、申し訳ないという気持ちの方が強かったです。自分が死ぬということに対してウワァ〜と悲しむというのはなかったです」

――怖くはなかった?
「もうしょうがないと思ったんです。今さら、ジタバタしてもしょうがないって。それよりも、今、気持ち悪いコレをなんとか直してほしい、消してほしい、だから手術をしてほしいと思ったんですよね」

話を聞いたのが手術の1年後であるという心の余裕分を差し引いたとしても、自身が回想する『死を受け容れたときの山崎泰宏』の心は、拍子抜けするほど“普通”に思える。確かに本人が言うように、死を覚悟した人の心境としては『案外と冷静』であることに驚かされるほどだ。これが『死を受け容れる』というものなのか。

しかし一方で、我々が想像をする死を前にした人の気持ちを良く表わしているのが、22年2月1日に亡くなった石原慎太郎さんである。

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