開幕前、大きな話題になっていたのは、松山とともに金谷拓実、中島啓太の3人がワイアラエに勢揃いしたことだった。

アジア・アマチュア選手権（現アジア・パシフィック・アマチュア選手権）で優勝し、マスターズに出るという道を日本人として初めて歩んだのは松山だったが、この狭く険しい道を金谷、中島も歩み、日本人が次々に踏襲していることは、欧米や世界各国が簡単には真似できない珍しい現象であり、羨望の的と言っても過言ではない。

米国人ではない中島が、まだアマチュアの段階で米国大手のエクセルスポーツマネージメント社と契約したことも、ビッグニュースとして扱われ、大きな注目を集めた。

その中島が初日から好発進を切ると、2日目には松山と中島が5位タイで並び、日本人2人が注目の的になった。

3日目に入ると、中島は緊張のため力を発揮できなかった。だが、彼が体験した心身の震えは、本場の空気を敏感に感じ取ったことによる武者震いのようなもの。この苦い経験を必ずや糧にすることだろう。

そして松山は、3日間54ホールのキャリア・ベストスコア（194）をマークし、単独2位で最終日を迎え、冷静沈着な忍耐のプレーぶりと攻めどころは攻めるアグレシッブなプレーぶりの攻守を織り交ぜ、最後は圧巻の勝利を飾った。