「6月に話を聞いたときは自身では負けず嫌いと言っていました。それが試合中でも出ると言いますが、プレー中は感情を表に出さずに落ち着いてプレーしたいと。それがさらにできていて表情も引き締まっています。ますますいい方向に変わってきていますね」（下村）

これまでの年間4勝という記録を抜いて5勝はステップ新記録。「賞金女王は決まりでしょうが、先週はレギュラーで予選落ちもしました。さらに闘志を燃やしているのではないでしょうか」と下村が言うように、今週は負けず嫌いな性格の本領が発揮されそうだ。

■前半の櫻井、後半の櫻井の違い

いったいなぜこんなに強さを発揮するのだろうか。下村の見立ては「前半の櫻井選手、後半の櫻井選手は違うんです」というものだ。「前半は首をかしげながら、いろいろ試している感じで、後半に入ると一気に集中力が高まって、試合に入り込んでいく感じです」。その日の状態を見ながら、どう伸ばすかを考えているように見えるのだが、それだけでは好スコアは出ないもの。「向上したいという意志と、いいところをもっと伸ばせる両方を持っているので、無敵ですよ」と試合運びの妙も群を抜いているとべた褒めだ。

もちろん技術力あっての“ゾーン”。「自分で予想したとおりのショットが打てるんです。フェード系ですが、左の奥のピンなど、逆の球を打たないといけない場面でもうまい。櫻井選手はパーオン率も75％を超えて1位。注意点はグリーンの奥を消すことだと言っています。かならず上りのパットを残し、前半はそこでタッチを見ながら、後半になって一気にタッチを合わせているんです」。正確なアイアンショット、そして入れに行くパッティング。この2つを機能させる集中力と技術力で5勝を稼いだ。

■課題を挙げるとすれば？